アメリカのエネルギー事情を理解する5つのポイント

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アメリカはエネルギーの開発と電力電力全体の行政の運営において、日本の一歩先を進んでいます。
本記事ではどんな点がアメリカのエネルギーにおいて優れているのか事例をあげながら説明します。

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1.電源開発の戦後歴史上の特長

アメリカにはもともと天然資源としての石炭の採掘量が多かったため、戦後の初期の段階では石炭火力発電所による電力供給に頼っていました。それは、現状の電力行政にも残っています。

そもそもアメリカは合衆国として存在しているため、電力行政の単位が各州毎の判断にまかされて発展してきました。そのため、アメリカ全体での電力統計が、実行するべき計画の対象になっていなかったのです。

各州ごとに発展した電力行政は、1992年エネルギー政策法により適用除外卸発電事業者(EWG)という独立系発電事業者(IPP)が規定され、これにより全米規模で実質的に自由化されることになりました。

つまり、日本の経済産業省による規制の様なものは無いということです。
これは供給量が十分なので、公共性より公的利権の排除を優先したとも考えられます。

2.再生エネルギーのシェア及び開発状況

再生エネルギーの内訳は風力が発電設備容量で77%、発電電力量で64%と圧倒的シェアを占め、地域としては

  • テキサス州
  • カリフォルニア州
  • アイオワ州

これらの地域などで開発が進んでいます。また、北東部で全米初となる洋上風力発電の開発も進められていますが、まだ運転開始には至っていません。

ソーラー発電(太陽光発電、等)については、発電設備容量および発電電力量とも近年の伸び率は目覚ましいものの、再生エネルギーの中でのシェアはそれぞれ4%および2%とまだ小さい状況です。


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3.原子力発電政策の運営動向

アメリカは世界に先駆けて原子力発電開発を手掛けた国で、現在世界一の原子力発電国です。
2014年11月には100基、約9,800万kWの原子力発電所を運転中で基数は1990年の112基をピークに減少しているものの、出力増強や設備利用率向上によって発電電力量は2010年に8,070億kWh(総発電電力量の約20%)と過去最高を記録しました。

その後2013年は7,900億kWh(同19%)と若干減少していますが、石炭火力の39%、ガス火力の27%に次ぐ基幹電源の役割を依然として担っています。

1979年のスリーマイル島(TMI)事故以来、反対運動で縮小機運が盛り上がった時期と、2001年ブッシュ政権の原発推進政策の時期の両方を経験していますが、国内シェールガス開発、と電力需要の落ち込みの影響で、現状を維持しながら少しづつ減っている状況です。

4.現在の電力開発状況

アメリカにおける今後の新規建設は、連邦エネルギー情報局(EIA)の新増設・閉鎖計画(2013年~2017年)によると、5年間で5,989万kWの発電設備の新増設が計画されます。その一方で4,308万kWの閉鎖も計画されており、正味の発電設備増分は1,682万kWとなります。

計画されている新増設設備のうち、ガス火力が57%を占め、次いでソーラー(太陽光発電、等)17%、風力10%となっています。これはシェールガスの登場による近年の天然ガス価格の低下が大きな要因にあります。

一方、閉鎖が計画されている発電設備の63%は石炭火力が占めています。気候変動問題に対する対策の一環として、連邦環境保護局(EPA)がCO2排出基準の策定を進めており、石炭火力発電所の閉鎖は、こうした環境規制に対する事業者の対応策と考えられます。

5.太陽光発電の技術動向

アメリカのエネルギー省は、電力事業者による大規模太陽光発電システムの発電コストが
2010年の21.4米セント/kWhから大幅に低減し、
2013年末には11.2米セント/kWh(約11円/kWh)となったと明らかにしました。

これでアメリカの電力料金の平均価格12米セント/kWhを下回った額であると同時に、日本における福島後の推定される原発の電力買取価格より、さらに安上がりになっていることになります。

システムのコスト構造をみると、最も急激に低下したのは、太陽電池モジュールで、価格は2010年時点の約3分の1になりました。直流-交流変換器の価格も約4割安くなっています。一方、架台や配線、調査や許認可、設置作業などにかかる費用の低下幅は小さいようです。アメリカのエネルギー省は、発電コストを2020年までにアメリカでの他の電源に対して十分な競争力がある6米セント/kWhに下げるという計画のようです。

あとがき

本記事ではアメリカのエネルギー実情、特に太陽光発電に注目して説明しました。アメリカにおける太陽光発電の実績をそのまま日本の実情に合わせようとするのは、気候上の差もあるため難しいかもしれません。しかし、合理的に原発を使用する一方で、モジュール価格を3分の1にする技術の躍進はやはりアメリカならではと思いました。皆様にアメリカのエネルギーの実情がお分かり頂ければ幸いです。ここまでご覧いただき誠にありがとうございました。

投稿者:

kou

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